ネタばれを含むので嫌な人は続きを読まないように
前に記事を書いたのが昔すぎて何を書いたか忘れておりました.
フィリップ・K・ディック氏の他の作品を読んだ事が無いので,何とも言えないのですが,
訳者の朝倉久志 氏(故人です,昨年亡くなられたようです)のあとがきによると
「ディックは感情移入を人間の最も大切な能力と考えている」とあります.
この作品を読んだ後の私の感想は,↑の一言に尽きる.
・・・と言ったらレビューする意味が無いのですが.
余談ではありますが,私は小説を読むときは,先にあとがきを読む癖があります.
ゆえに作品内容に触れるあとがきだった場合はある種の「先入観」を持って読んでしまうのですが,
この作品は「なんとなく」ページの順番通りに読んだ結果,このあとがきを最後に読んだわけです.
先に読まなくて良かった…
前記事でも書きましたが,この作品の最大の魅力は心情表現です.
SFによくある壮大な設定,ではありません.(私は壮大な設定のものも大好物ですが)
作品を通して分かる作品内の世界でのアンドロイドと人間の違いは
「他者に感情移入できるか?」といったものです.
言うまでもなく,作品内でも現実世界でも人間も完全に他者と心を通じさせる事は無理です.
しかし,この世界のアンドロイドは「まったく他者に感情移入できない」のです.
しかし,「それっぽく振る舞うことはできる」.それがいかにも恐ろしい.
特に恐ろしいのは,作中のキーパーソンでもあるレイチェルです.
詳細は語りませんが,序盤から中盤まではレイチェルはものすごく魅力的なんですよ.
私もアンドロイド欲しいと思っちゃうほどです(ぉぃ)
マルチとセリオだったら・・・,うわこれ究極の二択すぎる.
途中から蠱惑的になるんですけどね.
他者を省みず,自分さえ良ければいい.
でも,現実世界でもああいう女性いそうで怖いなー(失礼)
人間の場合は,他者に感情移入「しない」のであって,
アンドロイドの場合は「できない」という違いはありますけどね.
まあレビューという名を借りた感想はここまでにしましょう.
何か上手く書けませんし(苦笑)
この本は間違いなく名著ですが,活字に慣れてない方,SFに慣れてない方はすぐ手を出すべきではないと思います.
何って,この本読みづらいのですよ.
作品の序盤を過ぎて,作品の世界観などに慣れてくるとすぐ読み終えられますけどね.
ただその事を差し引いてもこの作品は読む価値のあるものです.
10段階評価では10ですね.
文庫版ではなくハードカバーで欲しいと思った珍しい作品です.
「人間とは何か?」という哲学的な事を考えるのが好きな方は,この本にどっぷり浸かると思いますよ.
この小説に興味を持ったけど,本を読むのはめんどくさいという方は
映画の「ブレードランナー」を見ると良いかもしれません(私はまだ見てませんが)
では今回はこの辺でお開き.
次は何を読もうかな~(と言いつつこの一ヶ月ほどでラノベは5,6冊読み終えてるのですが)
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